今やるべきはSNS?サイト?動画?──判断の基準を整理する
2025年11月13日
今やるべきはSNS?サイト?動画?──判断の基準を整理する
「結局、今は何に注力すべきなんでしょう…」
SNS、ブログ、動画、メールマーケティング、ポッドキャスト…
選択肢が多い中で、迷う企業は多いです。
そして、その迷いが、「とりあえず何でもやってみる」という判断につながり、結果として全部中途半端になってしまう。
ですが、実は判断の基準は、シンプルなのです。
「今、企業に何が足りないのか」という問題から逆算する。
その企業の「ステージ」「課題」「リソース」に応じて、優先順位は自動的に決まるのです。
今回は、その判断基準をシンプルなフレームワークでお伝えします。
1. 企業の「ステージ」によって、やるべきことは違う
まず理解すべきなのは、企業のステージによって、優先順位は変わるということです。
ステージ①:「認知がない」状態の企業
顧客が、そもそも企業を知らない。
この場合、優先順位は:
1位:ブログ(SEOで検索流入を作る) 2位:SNS(見込み客を引き込む) 3位:動画(デモンストレーション用)
ステージ②:「認知はあるが、理解が不十分」の企業
企業は知られているが、「何をしている企業か」が顧客に正確に伝わっていない。
この場合:
1位:動画(短時間で理解を促す) 2位:ブログ(詳しい説明) 3位:SNS(定期的な情報発信)
ステージ③:「理解はあるが、信頼が不足」の企業
事業内容は分かるが、「本当に効果があるのか」という信頼がない。
この場合:
1位:事例動画・ケーススタディ(実績を示す) 2位:SNS(信頼構築のための定期発信) 3位:顧客インタビュー(第三者の声)
つまり、どのステージかで、やるべきことは変わるのです。
2. 「今、何が課題か」を明確にする3つの質問
では、自社が「どのステージなのか」「何が課題なのか」を把握するには、どうするか。
3つの質問で、明確になります:
質問1:「営業1件あたり、いくつのアクションが必要か」
- 5回未満:認知は足りている → SNS・動画に注力
- 5~15回:認知は足りているが、説明が必要 → 動画に注力
- 15回以上:そもそも認知がない → ブログに注力
質問2:「顧客から『よくある質問』は何か」
- 「御社って何ですか」が多い → ブログで説明
- 「それでどうなるの」が多い → 動画でデモ
- 「本当に効果ありますか」が多い → 事例・インタビュー動画
質問3:「競合と比べて、ウチの『認知度の差』は」
- 競合の方が圧倒的に認知されている → ブログ&SEOで地道に認知を作る
- 認知は同等だが、理解度の差がある → 動画で理解を促す
- 認知・理解は同等だが、信頼度の差がある → 事例・お客様の声
この3つの質問に答えるだけで、「今、何をやるべきか」が見えてくるのです。
3. リソースの「量」と「質」から判断する
もう一つの判断基準が、「リソース」です。
同じ「ブログに注力する」という判断でも、リソースによって実行方法は変わります。
リソースが限られている場合:
月1本のブログ記事 + 週2回のSNS投稿
→ 外部ライターに依頼して、社内の負担を最小化
リソースがそこそこある場合:
月2本のブログ + 週3回のSNS + 月1本の動画
→ 社内でも執筆し、外部サポートと組み合わせる
リソースが充実している場合:
月2本のブログ + 週5回のSNS + 月2本の動画 + 月1本のポッドキャスト
→ 複数の施策を同時並行で運用
つまり、「理想的な施策」ではなく、「リソースの中で実現可能な施策」から始めるのです。
4. 「続ける」ことを前提に判断する
ここで、重要な視点があります。
「理想的だけど続かない施策」より、「地味だけど続く施策」の方が、はるかに効果が高いということです。
例えば:
❌ 「月5本のブログ+週7回のSNS+月2本の動画」を始めたが、3ヶ月で全て止まった
✅ 「月1本のブログ+週2回のSNS」を2年間続けた
どちらの方が、効果が出ているでしょうか。
明らかに、後者です。
なぜなら、前者は最初の3ヶ月で、認知も理解も信頼も築ければいいですが、通常それは不可能。
6ヶ月~1年の継続が必要です。
一方、後者は2年間続いているので、SEOでの検索流入も増え、SNS フォロワーも増え、ブランド認知も徐々に高まっています。
つまり、「続く」という前提で、判断する必要があります。
5. 優先順位の判断フレームワーク
では、実際に判断するためのシンプルなフレームワークを、お示しします。
軸1:緊急度(いつまでに必要か)
- 3ヶ月以内に見込み客を増やしたい → SNS(即効性がある)
- 6ヶ月以内に認知を作りたい → ブログ(SEO効果は3~6ヶ月で出始める)
- 1年以上の中長期で考えたい → SNS&ブログの複合戦略
軸2:効果の確実性
- 「確実に認知を作りたい」 → SEO&ブログ(確実性が高い)
- 「できるだけ多くの人にリーチしたい」 → SNS(ただし、バラつきあり)
- 「深く理解させたい」 → 動画(動画は認知~理解を同時に進める)
軸3:リソースの現実性
- 「人手が限られている」 → ブログ(月1本なら、外注で対応可能)
- 「複数人で動ける」 → SNS&ブログの複合
- 「映像制作スキルがある」 → 動画
この3軸を見て、優先順位を決めるのです。
6. 「ステージごと」の判断例
では、実際の企業例で、どう判断するのかを見てみましょう。
例①:年間売上5000万、創業3年の企業
状況:営業1件あたり、営業アクションが20回以上必要。顧客から「そもそも何の企業か」という質問をよく受ける。
判断:「認知がない」ステージ → ブログに優先注力
開始:月1本のブログ記事を、まずは3ヶ月試す
その後:ブログのアクセスが増え始めたら、SNS で定期発信も開始
例②:年間売上1億、営業チーム10名の企業
状況:認知はあるが、「複雑な製品なので、説明に時間がかかる」と営業が指摘。動画があれば、営業前の説明時間が短縮できる。
判断:「理解が不十分」ステージ → 動画に優先注力
開始:製品デモ動画1本(15万円)+ 導入事例動画1本(20万円)を制作
その後:営業が「この動画があると商談の入りが違う」と確認したら、年間に複数本の動画を配置
例③:年間売上3億、営業チーム20名の企業
状況:認知も理解も進んでいるが、「競合との差別化がない」という営業課題がある。また、採用も課題。
判断:「信頼と採用」ステージ → ブログ&動画&SNS の複合戦略
開始:ブログで「業界課題の解説」、動画で「事例」、SNS で「最新情報」を定期発信
7. 「正解」よりも「判断」が大事
最後に、重要なマインドセットをお伝えします。
発信戦略に「完全な正解」はありません。
企業によって、状況は異なります。
重要なのは、「自社の状況」から逆算して、判断できるかどうかです。
その判断ができれば、リソースの限られた中小企業でも、戦略的に発信を進めることができるのです。
「今、何をやるべきか分からない」という時は、この5つの判断基準を参考に、もう一度、自社の状況を整理してみてください。
判断が変わるはずです。