3ヶ月で”発信が社内文化になった”製造業の話
2025年11月12日
3ヶ月で”発信が社内文化になった”製造業の話
多くの企業が発信を始めます。
でも、継続できません。
なぜか。
それは、発信が「一部の人の仕事」になっているからです。
「広報担当が発信する」
「マーケティングチームが企画する」
こういう構造では、広報やマーケティングの人が異動したり、別の案件に追われると、発信は止まります。
ですが、ある製造業企業は違いました。
3ヶ月で、発信が「全社の文化」に変わったのです。
その結果、誰が責任者でも、発信が続く体制が出来上がりました。
どうやって、それが実現したのか。
その秘訣についてお伝えします。
1. 「発信が続かない」企業と「発信が続く」企業の違い
発信が続かない企業の特徴:
- 「発信は、誰の仕事か」が曖昧
- 「今月は誰がSNS投稿するのか」が毎回決まらない
- 「ブログの記事は、誰が書くのか」が決まっていない
- 決定権が一人の人に集中している
対して、発信が続く企業の特徴:
- 「毎週月曜日の朝礼で、その週のSNS投稿を発表する」というルール
- 「ブログ記事は、営業と現場で交代で書く」という決まり
- 「毎月第2金曜日に、発信会議をする」という習慣
- 経営者が「発信状況」を定期的に確認する
つまり、**「発信の『タイミング』と『責任者』が、固定化されている」**のです。
2. この企業の「3ヶ月の変化」の内訳
では、この製造業企業は、具体的に何をしたのか。
月1:「発信の意義」を全社で共有
経営者が全社朝礼で、こう話しました:
「これからの時代、営業だけでなく、発信も大事です。なぜなら、見込み客は『SNSで情報を探してから、営業に連絡する』という流れになってきているから。だから、営業と発信は、セットで考えます」
この一言が、全社の認識を変えたのです。
発信が「マーケティング部門の仕事」ではなく、「営業効率を上げるための全社活動」という認識が、全員に生まれたのです。
月1:「発信の役割分担」を決定
営業が「顧客課題」を提供する 現場が「実装事例」を提供する 経営者が「経営方針」を発信する 広報が「企画とまとめ」を担当
この役割分担が決まった瞬間、「発信は誰かの仕事」から「全員の仕事」に変わったのです。
月2:「発信ルーティン」を仕組み化
毎週月曜日10時:朝礼で、その週のSNS投稿内容を共有(発表者は、交代で) 毎週水曜日17時:営業から「今週、顧客から聞かれた質問」をヒアリング 毎月第2金曜日15時:来月のブログテーマを決定会議
このルーティンが決まると、発信は「習慣」になり始めました。
誰もが「月曜日の朝礼で、発表があるな」という認識が生まれたのです。
月3:「発信文化」が根づく
ここで面白いことが起きました。
営業から、勝手に提案が上がってくるようになったのです。
「ここ、ブログネタになりそうですね」
「このお客さんの課題、SNS投稿で他の企業にも参考になるんじゃないですか」
つまり、全社が「発信アンテナ」を立てるようになったのです。
その結果、発信のネタが自動的に集まるようになり、広報の負担が激減しました。
3. 「決定権の分散」がもたらした変化
ここで重要な仕掛けがあります。
この企業は、意図的に**「決定権を分散」**させました。
従来は、「広報が全て決める」というトップダウン型。
新しい体制では、「営業が書いたブログは営業の責任」「現場が提供した事例は現場が確認」という分散型。
つまり、各部門が「自分たちの情報の発信」に責任を持つようにしたのです。
この変化は大きかったのです。
なぜなら、広報が「全て決める」という重圧から解放されたから。
同時に、各部門は「自分たちの情報が、どう発信されているか」に関心を持つようになったから。
4. 「発信が文化になる」とは、具体的に何が起きるのか
では、「発信が文化になった」とはどういう状態か。
それは、こういう状態です:
✅ SNS投稿が止まらない 毎週、誰かが投稿する。それが習慣化している。
✅ ブログネタが自動的に上がってくる 営業や現場から「あ、これブログネタになる」という提案が上がる。
✅ 採用面接でも、発信の話が出る 「ウチは、こういう発信をしています」という説明が、採用ページにもなり、社員の口からも出てくる。
✅ 新入社員も、発信に参加するのが当たり前 「発信って、何ですか」という質問が出ない。新人も、最初から「発信に参加する」ことが前提。
✅ 会社の方針が変わっても、発信は続く 誰が広報になっても、「毎週月曜日に朝礼で発表する」というルーティンがあるから、発信は止まらない。
5. 「文化になるまでの、3つの段階」
実は、発信が「文化」になるまでには、段階があります。
段階1:「誰かが頑張る」段階(最初の1ヶ月)
広報や一部の人が、一生懸命、発信を回そうとする。
でも、疲れ始める。
「これ、続くのかな…」という不安が生まれ始める。
段階2:「ルーティン化される」段階(1~2ヶ月目)
「毎週月曜日に発表」などのルーティンが決まる。
最初は戸惑いがあるが、「あ、これは『やらされている』ではなく『決まっている』んだ」という認識に変わる。
段階3:「文化になる」段階(3ヶ月目以降)
最初は「決まっているから、やる」という義務感。
それが、「これが、うちのやり方だから」という当たり前に変わる。
さらに進むと、「こうやった方が、発信は回るんじゃないか」という提案が、全社から上がってくるようになる。
つまり、文化になるというのは、「義務」から「当たり前」へのシフトなのです。
6. 「文化になった」企業の強さ
発信が「文化」になった企業は、非常に強いです。
なぜか。
理由①:人に依存しない
誰が広報になっても、発信は続く。
別の企業から営業が転職してきても、「あ、ウチはこう発信してるんですね」と、自然に適応できる。
理由②:自動的にコンテンツが増える
全社が「発信アンテナ」を立てているから、ネタが集まる。
広報の負担が減り、その分、企画に集中できる。
理由③:新しい人も育成される
新入社員も、「発信に参加する」ことが前提だから、自然と「発信スキル」が育つ。
3年後、その新人が管理職になれば、その習慣はさらに広がる。
理由④:競合との差別化になる
同じ業界の企業が「SNS やブログなんて…」と言っている中、この企業は「全社で発信している」という差別化ができている。
7. 「文化にする」ために避けるべきこと
ただし、発信が「文化」になるまでには、いくつかの罠があります。
罠①:「完璧さ」を求めすぎる
最初の投稿が完璧である必要はありません。
むしろ、不完全でも「毎週、続ける」方が大事。
「クオリティ > 継続」ではなく、「継続 > クオリティ」の発想が必要。
罠②:一人の人に決定権を集中させすぎる
「広報が全て決める」という構造は、その人が異動したら、全て止まります。
決定権を分散させることが、文化化の鍵。
罠③:「新しい人は、発信から外す」という判断
むしろ、新しい人こそ、最初から巻き込む。
「ウチは、全社で発信するんだ」という認識を、最初から持たせる。
8. 「3ヶ月で文化になった」理由
最後に、なぜこの企業は「3ヶ月」という短期間で、文化を作れたのか。
理由は、いくつかあります:
理由①:経営者の強い意志
「これからの時代、発信は大事」という経営者の言葉が、全社に届いた。
その言葉に信念があったから、全社も動いた。
理由②:「役割分担」を明確にした
誰がどの情報を提供するのか、が決まっていたから、「自分には関係ない」という言い訳ができなかった。
理由③:「ルーティン」を仕組み化した
毎週月曜日の朝礼など、「決まった時間、決まった場所」で、発信を確認する。
その繰り返しが、3ヶ月で「当たり前」に変わったのです。
【まとめ】
発信が「文化」になると、企業は変わる
「発信を始めたいけど、継続が心配…」という企業は多いです。
その心配の理由は、実は分かっています。
発信が「一部の人の仕事」になっているから。
その状態では、その人が忙しくなったり、異動したりすると、止まるのは当然。
ですが、発信が「全社の文化」になれば、話は違う。
誰が広報になっても、毎週月曜日の朝礼で発表がある。
営業も現場も、自然と「発信アンテナ」を立てるようになる。
その文化が出来上がると、発信は止まらないのです。
「発信を始めたいけど、続かないんじゃないか…」という不安がある企業の方へ。
まずは、この企業のモデルを参考に、「発信文化の仕組み」を一緒に設計しませんか??