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‘情報発信ゼロ’から’毎月2本ブログ’へ──営業負荷が半減した理由

2025年11月12日

‘情報発信ゼロ’から’毎月2本ブログ’へ──営業負荷が半減した理由

営業の効率化と聞くと、多くの企業は「営業プロセスの改善」や「営業ツールの導入」に目が向きます。

ですが、実は**営業の負荷を最も減らす方法は、「営業前の見込み客教育を仕組み化すること」**なのです。

つまり、営業が何度も繰り返し説明している基本的な内容を、ブログで事前に提供することで、営業の初回打ち合わせを大幅に短縮できるということです。

ある IT ソリューション企業は、まさにこの施策で、営業の負荷を50%削減し、営業生産性を劇的に向上させました。

今回は、その企業の具体的な事例と、営業生産性向上の仕組みについてお伝えします。

1. 「営業が何度も同じ説明をしている」という現実

このIT企業は、中堅企業向けのクラウドソリューションを提供しています。

従業員は25名。営業は5名です。

経営者が営業チームと打ち合わせをしていた際、営業から聞かされたのは、こんな悩みでした。

「初回の営業打ち合わせで、毎回同じ説明をしている」

「『このソリューション、実は何ができるのか』という基本的な質問が毎回出る」

「基本説明に時間を使っているので、本当に顧客ニーズを聞く時間がない」

「結果として、顧客の実情を理解せず、提案をしてしまうことがある」

これは、営業効率が低下している典型的な症状です。

営業が「見込み客教育」に時間を使うあまり、営業本来の仕事である「顧客ニーズの理解」と「提案品質の向上」に集中できていないのです。

2. 「営業の初回打ち合わせ」の実態調査

経営者は、営業の効率化を本気で考え始めました。

まず、営業の初回打ち合わせを実際に分析してみることにしたのです。

営業5名に対して、「初回打ち合わせで、何に時間を使っているか」を記録させました。

結果は、こんなものでした。

営業の初回打ち合わせの平均時間:90分

その内訳:

  • 基本的なソリューション説明:60分(67%)
  • 顧客の課題ヒアリング:20分(22%)
  • 提案方法の相談:10分(11%)

つまり、90分中の60分は、営業が一方的にソリューション説明をしていたわけです。

これは、営業効率が悪い典型的なパターンです。

理想的には、顧客の課題ヒアリングに時間を使い、その課題に対する最適な提案を作成することが、営業の本来の仕事なのです。

3. 「ブログで基本説明を事前化する」という発想

経営者は、外部のコンサルタントの提案を受けました。

「営業が毎回説明している『基本的なソリューション内容』をブログで発信することで、見込み客は営業前に自分で学ぶことができます。その結果、初回打ち合わせの時間を短縮できます」

最初、経営者は懐疑的でした。

「本当に見込み客がブログを読むのか?」

ですが、コンサルタントの説明を聞き、「試してみる価値がある」と判断しました。

「月2本のブログから始めて、3ヶ月試してみます。効果がなかったら、やめればいい」

こうして、ブログ発信がスタートしたのです。

4. 「営業がよく聞かれる質問」をブログにする

重要だったのは、「何を書くか」という点です。

経営者とコンサルタントは、営業から「営業先で何度も聞かれる質問」を聞き出しました。

例えば:

「『このソリューションで、本当に我社の課題が解決するのか』という質問」

「『導入期間は、どのくらいか』という質問」

「『初期投資と月額費用は、どのくらいか』という質問」

「『他社での成功事例は、あるのか』という質問」

「『セキュリティ対応は、どうなっているのか』という質問」

こうした「営業が何度も説明している内容」が、ブログネタになったのです。

月1本目のブログ:「【よくある質問】このソリューションは、本当に中堅企業の課題を解決できるのか」

月2本目のブログ:「【導入ガイド】導入期間の目安と、実装スケジュール」

こんな具合に、営業の「よくある質問」がそのままブログのテーマになったのです。

5. 最初の2ヶ月:変化がない

ブログを開始してから、最初の2ヶ月間は、営業の見込み客には大きな変化がありませんでした。

営業の初回打ち合わせの時間は、相変わらず90分でした。

経営者は、「やっぱり効かないのか」と思い始めました。

ですが、コンサルタントは、「3ヶ月目まで待ってください」と言いました。

「ブログが見込み客に認識されるまでには、3ヶ月程度かかります」

6. 3ヶ月目:営業から「変化」の報告

3ヶ月目に入ったころ、営業から、こんな報告がありました。

「新規問い合わせをした見込み客から、『ブログを見ました』という声が増えてきました」

「初回打ち合わせで、見込み客が『実は、ブログで読んだんですが』と言うことが多くなりました」

「その結果、基本的な説明を省いて、より深い質問に直接進めるようになりました」

つまり、ブログが見込み客の「事前学習」になり、営業の基本説明の時間が自動的に削減されていたのです。

7. 6ヶ月時点での成果:数字で見る変化

では、実際に何が変わったのか。

初回打ち合わせの時間と内訳を、再度測定してみました。

Before(ブログ開始前)

  • 初回打ち合わせの平均時間:90分
    • 基本的なソリューション説明:60分(67%)
    • 顧客の課題ヒアリング:20分(22%)
    • 提案方法の相談:10分(11%)
  • 営業の商談化率:28%
  • 営業1人当たりの月平均受注数:0.8件

After(ブログ開始後、6ヶ月時点)

  • 初回打ち合わせの平均時間:75分(15分短縮、17%削減)
    • 基本的なソリューション説明:30分(40%)← 30分削減!
    • 顧客の課題ヒアリング:35分(47%)← 15分増加!
    • 提案方法の相談:10分(13%)
  • 営業の商談化率:38%(28%→38%で、10ポイント向上)
  • 営業1人当たりの月平均受注数:1.2件(0.8件→1.2件で、50%増加)

つまり、営業の基本説明は60分から30分に削減され、顧客の課題ヒアリングに時間が充てられるようになった結果、営業の商談化率が10ポイント向上し、受注数が50%増えたのです。

8. なぜ、このような成果が出たのか

ここに、営業生産性向上の秘訣があります。

秘訣①:見込み客が「営業前に基本知識を得られる」

ブログを読んだ見込み客は、営業との打ち合わせに「基本的な理解」を持って臨みます。

その結果、営業は「基本説明」をしなくても、見込み客は背景知識を持っているため、より深い質問ができるようになるのです。

例えば:

営業:「このソリューションは、こんな機能があります」 見込み客:「ブログで読みました。それで、うちの『在庫管理の効率化』に使えますか?」

この短い対話で、営業は見込み客の「具体的なニーズ」を理解できるのです。

秘訣②:営業が「本来の仕事」に集中できる

営業から「基本説明」の負担が減ることで、営業は「顧客ニーズの深掘り」と「カスタマイズ提案」に集中できるようになります。

結果として、提案の品質が向上し、商談化率が上がるのです。

秘訣③:営業のモチベーション向上

営業が「無駄な基本説明」から解放されることで、営業のモチベーションも向上します。

営業は、自分たちが「本当に価値のある営業活動」をしていると感じるようになるからです。

9. 「営業の基本説明時間が削減される」ことの波及効果

さらに面白い変化が起きました。

営業が「基本説明」に使う時間が30分に削減されたことで、営業1人当たりの年間総営業接触時間が増えたのです。

つまり、同じ営業時間の中で、より多くの顧客と打ち合わせできるようになったわけです。

試算:

営業1人が月に20件の初回打ち合わせをしていた場合

  • Before:90分 × 20件 = 1800分(30時間)
  • After:75分 × 20件 = 1500分(25時間)

削減時間:5時間

その5時間を、営業は何に充てるか。

「顧客のフォローアップ」「提案資料の作成」「既存客との関係構築」など、より高付加価値な営業活動に充てることができるのです。

10. 営業生産性向上の投資効果

では、このブログ施策にいくらかかったのか。

  • ブログ記事執筆&編集(月2本):月20万円程度
  • 年間:240万円

一方、受注数の増加による売上増加は?

この企業の平均受注額が250万円だとすると、月平均0.4件の受注増加は、月100万円の売上増加に相当します。

年間:1200万円の売上増加

投資対効果は、5倍です。

つまり、年間240万円の投資で、年間1200万円の売上を生み出しているわけです。

11. 営業スタッフへの波及効果

さらに、営業スタッフへの良い影響がありました。

営業が「基本説明」から解放されたことで、営業の教育体制も変わり始めたのです。

新入営業は、「ブログを読ませた上で、営業に出すのか」という判断ができるようになりました。

つまり、ブログが「営業研修」の代わりにもなっているのです。

新入営業は、営業現場に出る前に、ブログを読むことで、基本的な製品知識を習得できるようになったわけです。

12. 「続ける」ことの重要性

最後に、重要な指摘があります。

このブログ施策が成功した理由は、「完璧さ」ではなく、「継続」だったのです。

最初の2ヶ月間は、営業の初回打ち合わせの時間に変化がありませんでした。

経営者は、「やめようか」と思ったのです。

ですが、「あと1ヶ月、試してみよう」という判断が、成功を生み出したのです。

3ヶ月目から効果が出始め、6ヶ月後には、営業の受注数が50%増えていたわけです。

つまり、ブログの効果が出るまでの「3ヶ月」を耐えられたかどうかが、分岐点だったのです。

13. 小規模企業だからこそ、この施策が効く

ここで、興味深い視点があります。

実は、小規模企業だからこそ、このブログ施策が効くのです。

大企業の場合、営業部門とマーケティング部門が分かれていることが多いため、営業の生の声がマーケティングに届きにくくなります。

一方、小規模企業では、営業とマーケティングが近いため、営業の「実際に聞かれている質問」がそのままブログネタになります。

その結果、見込み客に本当に必要な情報が、ブログに集約されるのです。

これが、ブログが営業効率化に効く理由なのです。

14. 次のステップ:ブログから動画へ

この企業は、さらに一歩進みました。

ブログで成功を経験した後、営業は「同じネタを動画でも見たい」という見込み客の声に気づきました。

そこで、6ヶ月のブログ蓄積をもとに、「よくある質問トップ5」を動画化することにしたのです。

結果、営業初回打ち合わせの時間は、さらに短縮されました。

見込み客が「動画を見た」という状態で営業に臨むようになったからです。

つまり、ブログが成功した企業は、そのコンテンツを動画に拡張でき、さらなる営業効率化が実現するということです。

【まとめ】

「営業負荷の軽減」から「営業生産性の向上」へ

営業の効率化を考えるとき、多くの企業は「営業人員の増加」や「営業ツールの導入」に目が向きます。

ですが、実は営業の「見込み客教育」の時間を削減することが、最も効率的な営業生産性向上の方法なのです。

そして、その見込み客教育を仕組み化する最も簡単な手段が、月2本のブログからの開始なのです。

「営業が忙しくてブログどころじゃない」という企業の方へ。

実は、ブログは「営業を楽にするツール」です。

営業の基本説明を仕組み化することで、営業は本来の仕事である「顧客ニーズの理解」と「提案品質の向上」に集中できるようになります。

その結果、商談化率が上がり、受注数が増え、営業生産性が向上するのです。

月2本からでいい。

「営業の負荷を減らしながら、営業生産性を上げる」という循環を始めてみませんか?

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