無料相談

社内の反対が怖くて始められない──よくある誤解と突破口

2025年11月11日

社内の反対が怖くて始められない──よくある誤解と突破口

「SNS発信をしたいんですが、経営陣の理解が得られなくて…」

「採用動画を作ろうと言ったら、営業から『そんなことより営業活動に注力しろ』と言われました」

「やりたいことはあるけど、社内調整が大変で…」

BtoB企業で広報・マーケティングを担当する方から、こうした相談をよく受けます。

実は、社内反対は、外部(広告代理店など)の否定と重なることが多いのです。

「うちは予算が小さすぎて対応できません」と広告代理店に断られた企業ほど、社内からも「今は必要ない」という否定を受けやすい傾向があります。

なぜなら、経営陣や営業陣も、暗黙のうちに「マーケティングには大きな予算が必要」「外部のプロに任せるもの」という思い込みを持っているから。

ところが、この「誤解」こそが、戦略を遠ざけている最大の原因なのです。

今回は、社内反対を招く根本的な誤解は何か、そしてそれをどう突破するかについて、掘り下げていきます。

1. 社内反対の本当の理由は、「マーケティングの役割」の誤解にある

社内から反対意見が出るとき、表面的な理由は様々です。

「営業に専念すべき」

「今は生産が大事」

「予算がない」

「人手がない」

ですが、根本にあるのは、一つの誤解です。

「マーケティング(発信・ブランド化)は、余裕がある時にやるもの」という誤解。

実は逆なのです。

営業に専念している企業ほど、実はマーケティングの支援が必要です。

なぜなら、営業の効率を上げるのがマーケティングだから。

見込み客を自動的に集める仕組みがあれば、営業は「商談化」に集中できます。

採用ページに動画があれば、採用面接までの道のりが短くなり、人事の負担が減ります。

つまり、**マーケティングは「余裕がある時の施策」ではなく、「営業効率を高めるための投資」**なのです。

しかし、この認識がないと、「今はそんなことをしている場合じゃない」という判断になってしまう。

2. 広告代理店に断られた企業こそ、社内反対が強くなる理由

ここで重要な観察があります。

外部の広告代理店に「予算が小さすぎるので対応できません」と言われた企業ほど、社内からの反対が強い傾向があります。

なぜか。

外部の専門家に「できません」と言われることで、経営陣の中に「やっぱり難しいんだ」という確信が生まれるからです。

「大手の広告代理店でも対応できないんだから、うちじゃ無理だ」

こうした判断になってしまう。

ですが、ここが誤解の核です。

広告代理店が対応できないのは、「予算が小さい」からであり、「効果が出ない」からではありません。

むしろ、小規模企業だからこそ、シンプルで誠実な発信の方が、効果が出ることもあるのです。

採用動画で言えば、プロが作った完璧な映像より、社員が素直に話している動画の方が、応募者には響く。

SNS発信も、経営者のひと言の方が、何百万円の広告より効果があることもある。

つまり、「対応できない」=「効果が出ない」ではなく、「採算が合わない」という商業判断に過ぎないのです。

この違いを理解することが、社内説得の第一歩になります。

3. 社内説得の切り口:「営業効率」と「採用効率」で数字を示す

では、実際に社内反対をどう突破するか。

重要なのは、「重要性」を感情的に訴えるのではなく、「効率」を数字で示すことです。

例えば、こんな切り口が有効です。

営業への提示:

「現在、営業が1件の商談化に平均20回の接触(メール、電話、提案など)が必要だとします。

ところが、見込み客がブログ記事で事前に情報を得ていた場合、その接触数は平均12回に減ります。

つまり、ブログに月2本の記事を追加することで、営業全体の効率が30%上がる可能性があります」

経営陣への提示:

「採用動画を1本作成するのに、外部制作なら50万円。ですが、スマホ撮影+社内協力で15万円で実現できます。

その結果、採用応募数が1.5倍になれば、1人あたりの採用コストが33%削減されます」

こうした数字を示すことで、社内の納得感が大きく変わります。

4. 最初の1本で「成功体験」を作る

社内反対の多くは、「効果が見える前の不安」から来ています。

だからこそ、最初は**「小さくても成功体験を作る」**ことが非常に重要です。

例えば:

「まずはブログを月1本、試しで3ヶ月やってみましょう。その後、成果を見て判断しませんか」

「採用動画を1本試作して、採用ページに載せてみましょう。応募者からの反応で判断しましょう」

こうしたアプローチで、3ヶ月~半年の小さな成果を作ります。

その成果が見えると、社内の見方が一変します。

「あ、これ効くかもな」

この心理的転換が起きれば、次のステップへの反対は大きく減ります。

実際、外部の広告代理店に否定されたけれど、小さく始めたら思った以上に効果が出た、という企業は多いのです。

5. 「広告代理店に断られた」ことは、むしろ有利

ここで、視点を変えてみましょう。

広告代理店に断られた企業が持っている、実は大きなアドバンテージがあります。

それは、「自社でやるしかない」という必然性です。

必然性がある企業ほど、実は成果が出やすいのです。

なぜなら:

  • 自社内で試行錯誤する文化が生まれる
  • 営業現場の声が直接施策に反映される
  • 小さなPDCAサイクルが回りやすい
  • 社員全体の当事者意識が高まる

大手の広告代理店に任せている企業より、実は自社でやっている企業の方が、長期的には競争力が高いことが多いのです。

「予算がないから自分たちでやるしかない」→「それが実は、一番効果的な方法だった」

この転換に気づく企業が、2~3年後には大きな差がついています。

6. 社内反対を突破するために、まず整理すること

最後に、実践的なステップを整理しましょう。

ステップ1:現状の営業効率を把握する

  • 営業1人が、月にいくつの商談を作っているか
  • 1件の商談化に、平均いくつのアクションが必要か
  • そのアクションにかかる時間コストは

ステップ2:見込み客教育で改善できる部分を探す

  • ブログ記事があれば、営業前の認知が進むか
  • 採用動画があれば、採用コストは下がるか
  • SNS発信があれば、ブランド認知度は上がるか

ステップ3:小さな実験を設計する

  • 3ヶ月間、月1本のブログ記事を試す
  • 1本の採用動画を試作する
  • 週2本のSNS投稿を試す

ステップ4:成果を数字で測定する

  • ブログからの流入数
  • 採用動画への反応(応募数、面接率)
  • SNS からの問い合わせ

ステップ5:社内に報告し、拡大判断する

「次のフェーズでは、こう展開したいと思います」と提案する

「試してみたら、こういう効果がありました」と数字を示す

7. 社内反対は、実は「チャンス」

最後に、視点を変えた一つの視点。

社内反対が出るということは、裏返すと、その組織内に「変わりたい」という欲求があるということです。

反対意見が全くなく、誰も関心を持たない企業ほど、実は危ない。

なぜなら、業界全体が変わる中で、反応できていないから。

社内反対がある企業は、実は「変化への関心」がある企業なのです。

その関心を、正しい方向に向けるのが、あなたの役割です。

「このアプローチなら、営業の手を止めずに、むしろ営業効率を上げられます」

「この投資なら、採用コストを下げながら、人材の質を上げられます」

こうした論理的な提案を、小さな成功体験とセットで示す。

それが、社内反対を突破する、唯一の方法なのです。

【まとめ】

社内反対は、戦略のサイン

「社内の反対が怖くて始められない」という相談を受けたら、私たちはこう考えます。

それは決して「ネガティブなサイン」ではなく、「改善の余地がある」というポジティブなサインだ、と。

広告代理店に断られた企業だからこそ、自社で工夫する方法がある。

予算がない企業だからこそ、シンプルで効果的な施策ができる。

人手がない企業だからこそ、自動化や効率化の仕組みを作る動機がある。

その制約の中で、小さく始め、成功を積み重ねていく。

それが、これからの企業の競争力になるのです。

「社内の理解を得たいけど、何から説明したらいいか分からない」という方へ。

まずは現状を整理して、最初の実験を一緒に設計しませんか?

ブログ一覧ページへ

トップに戻る