月1本のブログが生んだ、営業見込み客3倍化の話
2025年11月11日
月1本のブログが生んだ、営業見込み客3倍化の話
「ブログを始めたんですが、本当に営業に効くんですか」
この質問を、何度聞いたでしょう。
特に、営業チーム主導の企業からは、「営業で直結する施策でないなら、やる意味が分からない」という反応をもらうことが多いのです。
ですが、実はブログは、営業の効率を最も高める施策の一つなのです。
なぜなら、ブログは「見込み客が営業前に『予習』できるツール」だから。
その効果を実感した企業が、ある建設関連企業です。
この企業は、月1本のブログを始めただけで、営業見込み客が「月6件」から「月20件」に増え、営業の効率が劇的に改善しました。
その秘訣は何か、今回はお伝えします。
1. 「ブログなんて、営業には関係ない」という仮説
この建設関連企業は、創業10年、従業員15名の小規模企業でした。
営業は、主に「飛び込み営業」と「既存顧客からの紹介」という従来的な方法に頼っていました。
新規見込み客は、月平均6件程度。
営業から聞く悩みは、こんなものでした。
「初回提案でいつも同じ説明をしている」
「お客さんが『競合と比較したい』と言って、一旦検討することになり、その後返事が来ない」
「提案まで、何度も同じことを説明しなければならない」
つまり、営業が「見込み客教育」に膨大な時間を使っていたのです。
その結果、実際に商談できる案件が少なくなり、営業効率が低下していました。
経営者は、「ブログ」について、こう考えていました。
「うちは小規模企業。ブログなんて、大企業の営業支援ツール。うちには関係ない」
2. 「月1本なら試してみるか」という小さな決断
ある時期、この経営者は、外部のマーケティングコンサルタントから提案を受けました。
「月1本のブログで、営業の見込み客が増える可能性があります」
経営者の最初の反応は、「そんなことあるわけない」でした。
ですが、コンサルタントがこう説明しました。
「月1本で試してみてください。3ヶ月続けて、何も変わらなかったら、やめればいい」
その気軽さが、経営者の心を動かしたのです。
「3ヶ月、月1本か。営業の邪魔にもならないだろう」
こうして、決断が下されました。
3. 「営業の現場から情報を吸い上げる」という工夫
重要だったのは、「何を書くか」という点でした。
ブログを担当することになったのは、営業マネージャーです。
通常、ブログは「企業の視点」で書かれます。
ですが、このマネージャーは、異なるアプローチを取りました。
営業の現場から「見込み客からよく聞く質問」を集めたのです。
例えば:
「『この工事方法、うちの施工現場で使えるのか』という質問をよく受ける」
「『費用相場は、どのくらいか』という質問が多い」
「『施工期間は、どのくらい必要か』という質問が毎回出る」
こうした「営業が繰り返し説明していることを、ブログ記事にしよう」という方針が決まりました。
1本目のブログは、こんなテーマでした。
「【よくある質問】この工事方法、実際にうちの施設で使えるのか」
内容は、営業が実際に説明している「施工方法の選択基準」を、ブログ形式で整理したものでした。
4. 3ヶ月で変化が見え始める
最初の1ヶ月は、変化がありませんでした。
営業見込み客は、相変わらず月6件程度。
「やっぱり、ブログなんて効かないのか」と経営者は思い始めました。
ですが、2ヶ月目、3ヶ月目と進むにつれて、変化が起き始めたのです。
営業が「お、この質問、昨日のブログに書いてあった内容だ」という経験をするようになりました。
営業からの報告:
「新規問い合わせ時に『実は、ブログを見たんですが』という見込み客が増えてきました」
「ブログで事前に説明を読んでくれているので、営業の提案がスムーズです」
つまり、ブログが「営業前の見込み客教育」を自動的にしていたのです。。
5. BeforeAfter の数字
では、実際に何が変わったのか。
Before(ブログ開始前)
- 営業見込み客:月平均6件
- 営業の初回提案までのステップ:5~6回の説明・打ち合わせ
- 営業が「見込み客教育」に使う時間:週10~15時間
- 営業の商談化率:35%
- 営業1人当たりの受注数:月平均1件
After(ブログ開始後、6ヶ月時点)
- 営業見込み客:月平均20件(3.3倍に増加)
- 営業の初回提案までのステップ:2~3回の説明で済む
- 営業が「見込み客教育」に使う時間:週3~5時間(60%削減)
- 営業の商談化率:48%
- 営業1人当たりの受注数:月平均2.1件
つまり、営業の見込み客は3倍に増え、営業時間は60%削減され、受注数は2倍に増えたのです。。
6. なぜ、このような変化が起きたのか
ここに、ブログが営業に効く理由が隠れています。
理由①:見込み客が「営業前に事前知識を持つようになった」
ブログを読んだ見込み客は、営業との打ち合わせの際に「この工事方法について聞きたい」という具体的な質問ができるようになります。
営業は、一般的な説明からではなく、「その見込み客の疑問」に答えるだけでいいわけです。
効率が圧倒的に上がるのです。
理由②:「本当に業界を理解している企業」という信頼が生まれた
ブログで「見込み客がよく聞く質問」に真摯に答えている企業。
その企業を見ると、見込み客は「この企業は、本当に業界を理解しているんだ」と感じます。
それが営業前の信頼形成につながるのです。
理由③:「競合との比較検討」の段階で、ブログが有利に働く
見込み客が競合企業と比較検討している際、「あ、この企業のブログに、こういう情報があった」という記憶が残ります。
つまり、ブログが「営業後の見込み客の心」にも影響を与えているのです。
7. 営業体制の変化
さらに面白い変化が、営業チーム内で起きました。
営業が「見込み客教育」の時間から解放されたことで、営業は何をし始めたのか。
「提案資料の質の向上」に時間を使い始めました。
以前は、営業は「基本説明に時間を使うだけで精一杯」でした。
ですが、ブログが基本説明をしてくれるようになったことで、営業は「この見込み客に最適な、カスタマイズされた提案」を作る余裕が生まれたのです。
その結果、営業の商談化率が35%から48%に上がったわけです。
8. 「月1本のブログ」の投資効果
では、このブログにいくらかかったのか。
- ブログ記事執筆&編集:営業マネージャーが月1時間(給与コストで月5000円程度)
- 外部ライター&編集:月10万円程度
つまり、月110,000円の投資でした。
一方、受注数の増加による売上増加は?
この企業の平均受注額が150万円だとすると、月平均1.1件の受注増加は、月165万円の売上増加に相当します。
投資対効果は、10倍以上。
つまり、月10万円の投資で、月165万円の売上を生み出しているわけです。
9. 「小規模企業だから効く」というパラドックス
ここで、面白い視点があります。
実は、小規模企業だからこそ、このブログ戦略が効くのです。
なぜか。
大企業の場合、営業部門とマーケティング部門が分かれていることが多いです。
その場合、営業の生の声がマーケティングに届きにくくなります。
一方、小規模企業では、営業とマーケティングが近い(この例では、営業マネージャーがブログ企画に参加しています)。
その結果、「営業が実際に聞かれている質問」がそのままブログネタになります。
それが、見込み客に強く響くコンテンツが生まれる理由なのです。
10. 「続ける」ことの力
最後に、重要な指摘。
このブログが成功した理由は、「完璧さ」ではなく、「継続」だったのです。
最初の3ヶ月は、変化がほぼありませんでした。
ここで多くの企業は「効果がない」と判断して、やめてしまいます。
ですが、この企業は続けました。
6ヶ月目で、営業見込み客が3倍に。
12ヶ月目には、SEO効果も出始めて、月アクセスが1000を超えました。
つまり、SEO効果が出るまでの6ヶ月を耐えられたかどうかが、分岐点だったのです。
【まとめ】
ブログは、営業の最高のパートナー
「ブログなんて、営業には関係ない」という仮説は、間違っていました。
実は、ブログこそが、営業を最も効率的にサポートするツールなのです。
なぜなら、営業は「見込み客教育」に時間を使う必要がなくなり、営業本来の仕事である「信頼構築」と「提案品質の向上」に集中できるから。
その結果、営業見込み客が増え、商談化率が上がり、受注数が増えるのです。
「営業が忙しくて、ブログどころじゃない」という企業の方へ。
実は、ブログは「営業を楽にするツール」です。
月1本からでいい。始めてみませんか?