“今はタイミングじゃない”が続く会社に足りないもの
2025年11月10日
“今はタイミングじゃない”が続く会社に足りないもの
「動画やSNS発信、確かに大事ですね。でも、今はウチのタイミングじゃないんです」
「業績が安定したら、体制を整えてから始めたいんです」
「今年は人手不足だから、来年から本気で取り組もうと思ってます」
BtoB企業の経営者からこうした返答をもらうことが、実は非常に多い。
その気持ちは分かります。確かに、今は多くの企業が忙しい。営業で手一杯。生産現場で人手不足。余裕がない状況は理解できます。
しかし、この「タイミング待ち」が、実は会社を、じわじわと衰退させている可能性があることを、ご存知でしょうか。
今回は、なぜ「タイミング待ち」は危険なのか、そして足りないものが何なのかについて、掘り下げていきます。
1. “今はタイミングじゃない”という判断は、永遠に来ない
ここで、一つの事実をお伝えします。
業界で成功している企業の多くは、「タイミングが整ってから」ではなく、「タイミングが不完全でも、始めた」企業です。
人手不足の中でも発信を始めた。
業績が不安定な中でも、SNS運用を開始した。
営業で忙しい状況の中でも、採用動画の撮影を決行した。
彼らが特別だったわけではありません。
ただ一つ違うのは、「完璧なタイミングを待つ」のではなく、「今の状況の中で、何ができるか」という思考を持っていた、ということです。
実際のところ、「今がタイミング」という瞬間は、ほぼ来ません。
なぜなら、ビジネスには常に何らかの課題があるからです。
人が足りない → 人が来たら始めよう。
業績が伸び悩んでいる → 業績が回復したら始めよう。
製品ローンチが終わったら → 次のプロジェクトが始まる。
このループから抜けられない企業が、実は多いのです。
2. “タイミング待ち”企業と”小さく始めた”企業の、3年後の差
では、具体的に比較してみましょう。
ある製造業の企業A社は、「SNS発信をしたい。でも今は営業で忙しいから、来年から本格的に始めよう」と判断しました。
同じ業界の企業B社は、「今は忙しいけど、月2本のブログ記事と週2〜3本のSNS投稿なら続けられる」と判断し、翌月から開始しました。
2年後、何が起きたか。
企業B社のブログは、検索結果に上位表示されるようになっていました。
SNS フォロワーは1000名を超えていました。
採用希望者からの問い合わせが月平均3件、増えていました。
営業資料の問い合わせも、「ブログを見て連絡しました」という見込み客が増えていました。
対する企業A社は、「来年から」と言いながら、別の案件に追われ、その「来年」は永遠に来ず。
3年目に入ってようやく動画制作の見積もりを取ったものの、「今から始めても…」という不安が。
つまり、企業B社が3年間コツコツ積み重ねた資産が、企業A社にはなかったわけです。
3. 検索流入、ブランド認知、採用申し込みは”時間がかかる資産”
ここが大事なポイントです。
営業活動のように、すぐに結果が出ることもあれば、半年、1年単位で効果が出る施策もあります。
SEOで検索結果に上位表示される → 平均6ヶ月〜1年
ブランド認知が深まる → 6ヶ月〜2年
SNS フォロワーが増える → 3ヶ月〜1年
つまり、「今から始めたら、効果が出るのに1年かかる」という現実があります。
逆に考えると、今から始めれば、1年後には効果が出ているということです。
「タイミングじゃない」と待っている間も、時間は進んでいます。
1年待つということは、1年分の資産形成の機会を失う、ということなのです。
競合企業が1年間、月2回のSNS発信を続ければ、24投稿分の資産ができます。
その投稿がブログ記事へのリンクになれば、ブログも徐々に評価されていく。
1年遅れるということは、競合企業よりも「資産構築が1年遅い」ということです。
4. “足りないもの”は、実は「完璧さ」ではなく「継続の覚悟」
ここで、「足りないもの」が何かが見えてきます。
多くの企業が「人手がない」「予算がない」「体制がない」と言います。
しかし、本当に足りないのは、それらではなく、**「不完全な状態でも始める覚悟」**です。
人が1人しかいなくても、その人が週2時間SNS投稿に充てることはできます。
予算が限られていても、スマホで動画を撮ることはできます。
体制が整っていなくても、月1本のブログ記事なら続けられます。
実際、成功している企業の多くが、小さく、不完全な状態から始めているのです。
大事なのは、完璧な体制を整えることではなく、「今の自分たちにできることは何か」を見つけて、それを継続する力なのです。
5. では、”不完全な状態”で何を始めるべきか
「分かりました。小さく始めます」という企業が次に悩むのは、「では何から始めたらいいのか」という点です。
ここで重要なのは、「営業負荷が最小限で、かつ資産になるもの」を選ぶことです。
例えば:
- ブログ記事(月1〜2本): 営業の現場で気づいたことを記事化。SEO資産になる。
- SNS投稿(週2〜3本): スマホで撮った写真とテキスト。見込み客との接点になる。
- 採用動画(年2〜3本): スマホで撮影。採用広報と営業資料の両用で効率的。
- 顧客インタビュー(年2〜3本): 既存客の協力を得て、信頼資産を作る。
これらは、決して営業の手を止めるものではなく、むしろ営業活動から生まれるものばかりです。
営業で気づいたことを発信する。採用候補者にも社員にも同じ映像を見せる。既存客の満足度を映像化する。
つまり、すでにやっていることを、少し形を変えて発信するだけなのです。
6. “今から1年”と”来年から1年”は、全く別のスタート地点
最後に、時間の価値について改めてお伝えしましょう。
「今から始めれば、1年後は検索流入が増えている可能性があります」
「今から始めれば、1年後はSNS フォロワーが数百人いるかもしれません」
「今から始めれば、1年後は採用ページの問い合わせが増えているかもしれません」
その一方で、「来年から始めます」と判断した企業は、1年後にゼロから始まります。
その差は、1年ではなく、2年分の遅れにつながるのです。
【まとめ】
タイミングは、待つものではなく、作るもの
「タイミングが良くなったら始める」のではなく、「今の状況の中で、始められることを探す」。
その思考の転換が、これからの企業の競争力を左右します。
「始めたいけど、何から手を付けたらいいか分からない」「今の体制では無理だと思っている」という経営者の方へ。
実は、その体制でできることの方が、案外多いかもしれません。
まずは現状を整理して、最初の一歩を一緒に設計しませんか?